宿屋で一休みした、
ひかるたちは、夜に
オリガの家に行くために起きた。
外に出ると、昨日の幽霊がいた。
「見たろう。この浜の病んだ姿を。あの、ぬしさまと呼ばれているものは、断じて、海の守り神ではない。かわいそうに、あのオリガと言う娘は、得体の知れぬ、あの生き物に取りつかれているのじゃ。頼む、旅人よ、あのオリガと言う娘を守ってやってくれ。今によくないことが起きるぞ。」
オリガの家にて、
「旅人さん、よかった。ずっと村の外から、誰か来るの待っていたんです。」
しかし、何かを話そうとした時、
村長の使いのものが現れて、
村長が呼んでいるということで、
オリガは、村長の元に言ってしまった。
ひかるたちは、村長の家まで
オリガを追いかけた。
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村長の家に行くと、
オリガは、
村長と話中だから、待っていてくれと言われた。でも、話声が聞こえたので、分からないようにこっそり聞いていた。
「厳しいことを言うが、お前の父は、死んだのだ。もう浜に戻ることはあるまい。だから、オリガ、うちの子にならないか?」
オリガは、
「少し考えてみます。」と言って、この話題は避けた。
「実は、あたしもお話したいことがあります。もうこれ以上、ぬしさまを呼びたくないのです。あたし、こんな暮らし、間違っていると思うんです。」
村長は、納得しなかった。
「そんな話、いまさら、村の者が納得するはずがない。それにお前は、村のためにほかの何ができる。」
オリガは、言葉にならなかった。でも、今日の話は、これにて終了となった。
オリガは、
ひかるに気づいた。
「聞かれちゃったみたい。でも、よかった。でもちょうどよかった。あたしの家に来て頂けますか?」
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ひかるは、再び、
オリガの家にきた。
オリガは、言った。
「海の神様に甘え切ってしまうなんて、いけないことだわ。なのに、誰も耳を貸してくれない。村のことに関係ないあなたならば聞いてもらえると思ったんです。教えてください。あたしたちのこんな暮らし、間違ってますよね。」
ひかるは、うなずいた。
「そうですよね。あなたなら、言ってくれるんじゃないかと思ってました。もう一度、村長さまに言ってみます。」
ひかるが寝ていると、
サンディーが言った。
「あんな、ムセキニンなこと言って、これで、オリガが村の人から、ハブンチョにされたらどーすんのさ。でも、ぬしさまってヤツは、なんてゆーかよくないかもしれないよ。」
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翌朝、
オリガは、ぬしさまを呼ばなかった。村人は、
「あの子がいなくなったら、オラたち、飢え死にしちまうぞ。」
しかし、別の男性から、ある噂を聞くことができた。
「村長は、自分だけの秘密の釣り場を持ってるらしいだ。家の裏から通じているらしいのだが、誰にも見せてくれないんだ。」
ひかるが村長の家に行くと、
村長の姿はなかった。どうしたのか聞いてみると、
村長の息子の
トトが、
「オリガが、もうぬしさまを呼びたくないと言ったら、すごい怖いカオして、この先の岩場に連れて行っちゃった。」
嫌な予感がする。裏の岩場に通じる扉は、開いていた。
ひかるたちは、急いで、岩場に向かった。
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(第29話に続く)