海辺の洞窟を奥に進むと、本当に村長のプライベートビーチがあった。そこには、
村長と
オリガが2人でいた。
村長、
「どうだ、きれいな場所だろう。ここなら、お前も落ち着いて話ができると思ってな。」
オリガ、
「・・・・・・。」
村長は、話を始めた。
「お前は、このところ、祈ってばかりでつかれてしまったんだな。村人には言っておこう。ぬしさまをお呼びするお前のチカラは消えたと。これから、お祈りは、この岩場でこっそりしようではないか? おまえならば、ぬしさまに、海の底の財宝も、持ってきてもらうこともできるのではないか。」
オリガは、言った。
「財宝? 村長さま、いったい、なにをおっしゃっているのですか?」
村長は、話を進めた。
「気が向いた時でいい。そうしてくれれば、わしらは、豊で幸せに暮らすことができる。そうだ、約束しよう。もう帰ってこない父を待ち続けるのはやめなさい。これからは、わしが、お前の父親になろう。」
「ちがう! あなたは、あたしのお父さんなんかじゃない。」
すると、海から何かが飛び出してきた。
ぬしさまだった。
ぬしさまは、大きく口を開けて、
村長を威嚇した。
サンディいわく、
「ヤバくない?」
村長は、
ひかるに気づいた。
「おい、誰の許可を得て、ワシのプライベートビーチに、、、」。そうこういっているうちに、
オリガが
ぬしさまに食べられてしまった。
村長「そんなことは、どうでもいい。助けてくれ!!」
ぬしさまと戦闘になった。
戦闘に勝つと、
ぬしさまの口から、
オリガが出てきた。けがはないようだ。
ぬしさまは、
ひかるたちに威嚇していたが、
村長の手下でないことが分かると、静かになった。
「オリガ、その者は、村長の手下ではないのか・・・。」
オリガは、見覚えのある声に、
「お父さん。」と言った。
ぬしさまの正体は、
オリガの父の幽霊だった。
「旅人よ、申し訳ないことをした。あの嵐の晩、海に投げ出された私の元に、黄金の果実が降ってきたのだ。薄れゆく意識の中で、浜に残したお前を想った。そして、あのとき、私は、確かに死んだ。しかし、次に目覚めた時、この姿で蘇っていたのだよ。そして、私は、お前(オリガ)が生き延びる為に、魚を届けていた。だが、いつしか、お前の元に人々が群がるようになっていた。はじめは、黙って見ていたが、もうこれまでだ。オリガは、こんな村を捨てて、遠くに行こう。」
オリガは、
「だめだよ。こんなのよくない。あたし、浜で漁を手伝うよ。自分でちゃんと働くの。お父さんの仕事、ずっとみてきたもの。」
父、
「オリガ。」
その時、
トトがやってきた。
「どうしても、旅人さんが心配になって、付いてきたんだ。ぼく約束する。大きくなって、オリガを守る!」
オリガ、
「トト」
オリガ、
「いままで、ぬしさまになって助けてくれたんだね。でも、もう大丈夫だよ。」
父、「思うより、ずっと、大人になっていたんだな。私のしてきたことは、余計なことだったようだ。自分のチカラで生きるお前を見守り続けよう。」
ひかるは、女神の果実を手に入れ、
父は、昇天した。そして、浜に戻った。
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(第30話につづく)