誰もいないはずの
マキナの部屋に、女性の幽霊が一人いた。その幽霊は、奥の扉を出て行った。
ひかるたちが後をつけると、3つのお墓があった。
大商人の墓
大商人の妻の墓
そして、大好きなお友だちの墓
サンディは、思った。
「さっきのゆーれい、マキナに似てなくね?」
大好きなお友だちの墓を調べていると、再び、女性のゆーれいが現れた。
サンディ、
「出た!! ヘンテコのゆーれい!!」
ゆーれいいわく、
「私は、マキナ、この墓の下で眠るものです。そして、あの子、さらわれてしまったあの子は、私のお人形、マウリヤ。不思議な果実のチカラで命を宿した、私の大切なお人形。」
・・・・・・ふつうの子のように、外で遊ぶことのできない私にとって、マウリヤだけが友達でした。
大好きな、大切な、お友だち、マウリヤと毎日遊んだ。とても、幸せでした。でも・・・・・・
私の病気は、どんどんひどくなり、じきに天使さまがお迎えに来るだろうと・・・分かっていました。
そんなある日・・・。
召使いが、万病に効くという、めずらしい果物を取り寄せたのです。
黄金色に輝く、美しい果実。・・・でも、私は、とっくにあきらめていました。
黄金の果実を食べたところで、私の病気が治るはずもない。私の命は、もう尽きるのだ・・・と。
「マウリヤ、きれいでしょう。きらきら光って、お星さまみたい。それに、・・・とってもいいにおい。あなたにも食べさせてあげたい。ひとりぼっちじゃなくて、誰かといっしょに。ねえ、マウリヤ、あなたがもし、人間のように、動いてくれたら、しゃべってくれたら、あなたに、命が宿って、私だけの友だちになってくれたら、どんなに・・・、ごほっ、ごほっ!!」
「天使様、私をお迎えに来たのですか?」
「あなた、マキナ? わたしのお友だちね。こんにちは、マキナ、やっと、あなたとお話しできてうれしい。」
「マウリヤ、あなた、本当に・・・。せっかく、願いかなったのに。」
「なあに。」
「わたしは、もう・・・。マウリヤ・・・、あなたに持っているもの全部あげる。あなたが、マキナになるのよ。お人形だと知られたら、この町にあなたはいられないかもしれない。だから、私のふりをして。あなたは、マキナとして幸せになってね。」
・・・・・・私の・・・かわりに・・・、お友だち・・・たくさ・・・ん・・・・・・
私の言葉を守るため、マウリヤは、誰にも気づかぬよう、墓を作り、マキナになりました。
マキナ、
「町の人々を騒がせた罪は、私一人のもの。マウリヤを責めないで。どうか、天使さま、私の大好きな人形、大切なお友だちを助けて。」
ひかるたちは、北の洞くつに向かうことになった。
--------
(第37話に続く)