侍女のジーラは、1Fの廊下を走り回り、懸命にとかげを探していた。
「アノンちゃん、どこにいるの? どうしよう、私のせいで・・・。」
「トカゲを逃がした侍女のジーラは私かですって? たしかにおっしゃるとおりですが・・・。まあ、アノンちゃんをさがすのをあなたも手伝ってくれるのですか!? ありがとうございます。」
ジーラは、引き続き、沐浴場の入り口付近を探し、
ひかるたちは、別の場所を探すことになった。
ジーラによると、アノンは、大きな音が苦手で、人がいない場所が好きらしい。人がいない場所で、はくしゅをすれば出てきてくれるかもしれません。
城の門番いわく、
「城下町のダンスホールで、動物に詳しいと言う遊牧民の旅人があたはずだ。」
ということで、
ひかるたちは、ダンスホールに向かった。
ダンスホールで催されている「ベリーダンス」は、夜開演するらしい。
遊牧民は、客席にいた。
遊牧民、
「このあたりのトカゲは、日の光に弱いから、日陰で涼んでいるんじゃないかな。お城の脇の大きな日陰なんてかなり怪しいとおもうべよ。」
それらしき場所で、
「はくしゅ」してみた。
すると、黄色い小さな生き物があたりを通った気がした。それは、金色のトカゲだった。おそらく、アノンだろう。
玉座にて、
大臣、
「おお、そのトカゲは、まさしく女王さまのペット、アノンちゃん!」
ひかるたちは、ユリシス女王と謁見出来た。
大臣、
「ユリシス女王さま、この者が、アノンちゃんを見つけてくれた旅人のひかるでございます。」
女王、
「おだまり・・・、大臣。そんな旅人のことなんてあとでいいわ。ねえ、ジーラ、アノンが逃げ出すなんてこれまでにあったかしら? お前は、アノンにいったい、何をしたの?」
ジーラ、
「申し訳ありません。いつもどおり世話をしていたら、急にいなくなってしまって。」
女王、
「言い訳をしても無駄よ。お前は今日限りでクビよ。」
女王、
「で、あなたは、この私にどんな御用かしら。そう、黄金の果実を譲れっておっしゃるのね。それは、無理な話だわ。なぜって? いま私の手元に黄金の果実がないんですもの。お風呂から出たら、果実がなくなっていたの。どうせ、どこかのどろぼー猫が食べたんでしょうけど。」
ジーラ、
「そんな、私は・・・」
侍女、
「女王さまっ、大変でございます。アノンちゃんが見つかった草むらを調べていたら、こんなものが・・・!」
女王、
「これは、黄金の果実。どうして、アノンちゃんが? まあ、果実が見つかれば、些細なことは気にしないわ。どう? この果実、あなたにさしあげてもよくてよ。」
ひかる、
「はい。」
女王、
「あはははは。やだ、本気になさったの? あなたに、あげるわけないじゃない! わたし、この果実をスライスしてひときれ残らず沐浴場に浮かべようと計画しておりましたの。黄金果実のお風呂の入ればおハダがもっとスベスベになるにちがいありませんもの。うれしいでしょう。あなたのさがしている果実は、こんな、名誉な使われ方されるのよ。アノンちゃん。ばっちい旅人さんに触られたからお風呂に行きましょうね。」
サンディ、
「なによ、あれー!? 超カンジ悪いんですケド! 本当に女王さま。ねえ、ひかる、聞いた。アイツ、女神の果実をスライスするとか言ってたよネ。女神の果実をスライスなんかしたら何が起きるか分からないヨ! マジ、ヤバいって。すぐに追っかけて止めなきゃ。女王たちの向かった、沐浴場まで、ダッシュで行くヨ。」
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(第42話に続く)