ひかるは、
「ガナン帝国城」の奥へと進んだ。そこには仲間の天使が囚われていた。
ひかるは、仲間の天使を助けた。
4人の天使を助けるものの、奥にはもう一人天使がいる。さらに奥まで行く。
サンディ、
「この人もつかまっている天使なの・・・カナ。」
エルギオス、
「罪・・・存在そのものが罪なのだ。」
囚人の鎖をはずした。
エルギオス、
「ここを訪れる者がいるとは、ガナサダイが倒されたのか。くくく、また、私ひとりを残してガナサダイはいったか。野望を果たせぬままさまよう奴のたましいにチカラをあたえてごまとしてやったというのに・・・。つくづく、勝手な男だ。・・・いや、そもそも人間とは、みな自分勝手なもの。存在すること自体が罪・・・。それが人間だ・・・。人間を守ろうとするセレシア、滅ぼそうとしながら放置したグランゼニスも同罪。犯した罪は、裁かれなくては、誰もやらぬと言うなら、この私が手を下そう。」
エルギオス、
「わが名は、エルギオス、かつて、大いなる天使と呼ばれし者。問おう、つばさなき天使よ。おまえは、人間を守る価値があると思っているのか?」
ひかる、
「はい。」
エルギオス、
「ならば、おまえもわが敵。人も神もすべてみな滅びるがいい。」
エルギオスと戦闘。ひかるは手が動かない。
エルギオス、
「上位の天使には、逆らえぬ。天使の理か、戦う価値もない。」
ひかる、負ける。
エルギオス、
「300年、囚われていた、私の憎しみがどれほどのものか、おまえには想像できまい。しかし、その憎悪の念こそが、私にチカラを与えたのだ。今や、私の存在は、神をも超えた。かつて、私が放った閃光は、おまえも見ただろう。神は、死んだのだ。今こそ、この私が神になり替わり、至高の玉座につこう。」
エルギオス、
「闇竜バルボロスよ、わがもとに来たれっ! 人間どもを滅ぼす前に、まず、神の国をわが居城としてくれる。」
サンディ、
「ちょ・・・ちょっと ひかる だいじょーぶ? 思いっきり負けちゃったね。でも、あのエルギオスってやつが帝国をあやつってたの? アイツ、天使なんだよね。どうして、あんなキモい姿になっちゃったんだろ? あれ、誰か来るんですケド。」
ラテーナ、
「エルギオスっ!! 今度こそ、今度こそ会えると思ったのに・・・。」
サンディ、
「あんたが探している相手って、アレだったの? ・・・もう行っちゃったけど。」
ラテーナ、
「やっぱり、あの人は、ここにいたのね。 そう、また手が届かなかった。」
ラテーナ、
「もうっ! ケガがまだ治りきってないのに、かってに抜け出したりして! エルギオス・・・この前の戦いであなたのキズは悪化してるのよ。もっと自分を大事にして!」
エルギオス、
「ナザムはいい村だな。ここでくらすようになってあらためてそう思うようになった。ラテーナ、私は、これからもこの村を守り続けることをちかおう。」
ラテーナ、
「えっ・・・!」
エルギオス、
「これはその約束の証だ。受け取ってくれ。」
ラテーナ、
「これは?」
エルギオス、
「この星空の首飾りは天使が近づくとその力に反応して輝きだす特別なもの。願わくはこの首飾りがつねにかがやきと共にあらんことを・・・。」
ラテーナ、
「それって・・・、あなたがこれからもずっとそばにいてくれるってこと?」
ラテーナの父、
「ここにおられましたか天使さまっ!」
ラテーナ、
「お、お父さん! どうしたの?」
ラテーナの父、
「実は、大変なことが・・・。」
エルギオス、
「帝国が私を狙っているだと、懲りないやつらだ・・・。再び、蹴散らしてくれる!」
ラテーナの父、
「お待ちくだされ、帝国のやつら、この間とは、くらべものにならないくらい大軍ですよ。いくら、守護天使さまでもキズを負った体では、やつらと戦っては無事では済みますまい。」
エルギオス、
「では、どうするというのだ? 戦わねば、村は、守れぬぞ。」
ラテーナの父、
「天使たちは、裏山の泉の洞穴に隠れていてくだされ。帝国兵どもには、天使さまは、すでに天使さまの国に帰られたのだとなんとか言い聞かせましょう。」
エルギオス、
「しかし、それでは・・・。」
ラテーナ、
「私からもおねがい。あなたがこれ以上きずつくの見たくないの。」
エルギオス、
「・・・わかった。」
ラテーナの父、
「ラテーナ、おまえは天使さまにつきそってかくれておるのじゃ。それと・・・タンスの奥の秘伝の薬、万が一のときのために持って行きなさい。」
ラテーナ、
「お父さん・・・?」
ラテーナの父、
「では、わしは、帝国軍を村の外に引きとめておくから、後のことは頼んだぞ。」
ラテーナ、
「・・・エルギオス?」
エルギオス、
「ラテーナ、やはり私は、村に戻ろうと思う。守るべき村から逃げ出し、敵に背を向けるなど、守護天使として許されることではない。」
ラテーナ、
「そう・・・そうよね。あなたなら、そういうと思ってたわ。でも、このまま行かせるわけにはいかないわ。せめて・・・これを飲んでいって。」
エルギオス、
「これは?」
ラテーナ、
「村に伝わる秘伝の飲み薬よ。キズによく効くの。お父さんが使ってくれって・・・。」
エルギオス、
「人間の薬が私の体にどれほど効くか分からぬが・・・、ありがたく、使わせてもらおう。」
エルギオスは、薬を飲んだ。
エルギオス、
「これは、眠り薬。どうして、ラテーナ・・・?」
ラテーナ、
「ごめんなさい、エルギオス。」
その後、洞穴にあらわれた帝国兵に、
ラテーナと
ラテーナの父は、
エルギオスを身売りした。その後、2人は、始末された・・・。
サンディ、
「・・・そんなことがあったんだ。そりゃあ、あのエルキモすも人間をうらんじゃうわ。たぶん、あんたのことも、裏切り者って思ってるじゃん。」
ラテーナ、
「私は、もう一度、彼に会って、あの時のことを謝らなくてはならないの・・・。あの人が去っていったのなら、私は、それを追うだけ。」
サンディ、
「あーあ。行っちゃったよ。相手は、お空の上だった言うのに、どうするつもりなのカナ。」
アギロ、
「おう、ひかる、無事だったか。なんか、得体の知れない野郎がバルボロスを呼んで一緒に飛んでっちまっただろ。なのに、おまえさんからは、ちっとも連絡がないんで、心配しちまったぜ。」
サンディ、
「心配しちまったぜ。じゃないですよ。こっちは、大変だったんだから。その飛んでったキモイやつこそがすべての元凶で、神の国に行っちゃったんスよ。」
アギロ、
「なにぃ。待て、詳しい話は、天使界に戻る途中で聞くとしよう。」